ひいらぎの大学雑記

ひいらぎの大学雑記

現役名大生が名古屋大学合格のための勉強法をお伝えします。

名古屋大学に受かるには【理系数学編】

 今回は名大理系数学対策について書いていこうと思います。

 理系ではどの学部でも数学が二次試験で大きなウェイトを占めるため、対策は避けては通れません。

注:基本的に名大志望者向けの内容となりますが、このブログに記したことは私個人の考えであり、勉強方法は個人によって合う合わないがあるということをご理解ください。

 

 

 

基本データ

(2019年3月現在)

時間:150分

問題数:4問

形式:論述

解答用紙:B4判用紙1枚/1問

問題用紙:B4判用紙1~2枚(別紙)

 

 

傾向・特徴

 分野としては確立漸化式、整数、微積分が頻出。

 2010年代に入って難化傾向にあり、特に2011年は全問が大幅に難化した。

 問題に公式集が付属することから、公式や解法の暗記ではなく、自ら論理立てて考え解答を導けることを重視していると言える。

 

対策

概要

 名古屋大学の数学は150分で4問であるため、1問あたり約35分使えます。そのため単純な典型パターンの出題はなく、かなり重たい出題がほとんどであると考えたほうが良いでしょう。

 しかし、名大数学は小問による誘導が非常に丁寧な問題がほとんどであるため、完答はできなくともある程度までは解答を書くことが求められます。論述式の利点を最大限生かして部分点を取りに行きましょう。

 部分点を稼ぐためには、まず典型パターンの習得が必須となります。なぜなら、難しい名大の問題も分解すれば典型パターンの集まりでできているからです(一部の問題を除く)。授業で一通り履修した後は、辞書型の参考書や網羅型問題集で典型パターンの習得に努めましょう。その上で名大過去問やオープン模試過去問に取り組めば十分な成果が得られます。

 基本的には1~2問完答して残りは半答というのが1つの目安となります。ただし、年によっては0完で合格したという人が多数存在することもあるため、過去問演習ではあくまで平均的な目安として捉えましょう。

 

1~2年

 まずは授業での知識の習得や定期試験対策を万全にしておきます。1~2年の校内試験は普通基本的な問題で構成されています。校内試験対策を主にして勉強する必要はありませんが、数学の問題は基礎の積み重ねでできているため、校内試験がおぼつかないようでは名大数学を解くことはかなり困難となるでしょう。

 ある程度の進学校であれば、この時点では特に校外で問題集を買う必要はありません。4STEPなどの教科書併用問題集を使用すれば十分です。ただし、高校で提出を求められていなかったとしても、B問題や演習問題と言った難度の高い問題にも可能な限り取り組む必要があります。

 基本の習得が目的のため、少し考えてわからなければ解説を見て理解し、その後解説を見ずに解けるか試すという進め方がよいでしょう。わからない問題をいつまでも考えているのは時間の無駄と言わざるを得ません。ただし、答えを見て理解したと思って満足せず、実際に手を動かして解くことを大事にしてください。

 進学校で出される課題は過多な場合もありますが、それがこなせるレベルでないと名大合格はおぼつきません。量がすべてではありませんが、ある程度の量をこなしていないと数学は習得できません。必要なら課題の分だけでなく出来なかったところを何周かしておくといいでしょう(時間的に厳しいかもしれませんが)。

 また、模試は既習範囲全体の力が試されるため、定期試験では対策したが忘れてしまったという部分をあぶり出すことができます。受けたら受けっぱなしではなく、模試の直後や返却されたときに必ず復習をしてください。このとき模試の問題だけではなく、解けなかった問題に関わる単元を復習しておくと後に役に立ちます。また解けなかった問題だけでなく解けた問題についても、きちんと記述が出来ているかといった点を確認しておきましょう。

 この期間に行われる東大・京大レベル模試などはこの時期の名大受験者には問題のレベルが高すぎる場合が多く、志望校を名大に設定しても判定があまり当てになりません。ハイレベルな問題に挑戦してみようというのはいいですが、判定が悪かったからといって落胆する必要はないと言えます。

 いろいろ書きましたが、1~2年のうちは勉強の他にも部活動や遊びなどでなかなか忙しいと思います。無理のない程度に勉強するようにして、課題だけはしっかりやっておけばそこまで心配することはありません。受験期に入るとやりたいことをやるのに制約がかかるため、この時期のうちに青春を謳歌しておきましょう(笑)

 

2年春休み~3年夏休み

 数学ⅠAⅡBは授業を終えているはずなので、そろそろ本格的な基礎演習に入ります。数学Ⅲはまだ授業を終えていないと思いますが、授業が終わってから総復習する時間はほとんどないため、授業が進むごとにもれなく習得していくようにしましょう。数学Ⅲも授業を終え次第演習に入ります。
 3年夏休みまでの演習ではスタンダードやクリアーと言った網羅型問題集を用います。数学ⅠAⅡBと数学Ⅲで1冊ずつ仕上げれば十分です。高校で配布されている場合はそれを用いればよいですが、なければ購入しましょう。
2018 スタンダード数学演習1・2・A・B 受験編

2018 スタンダード数学演習1・2・A・B 受験編

 
クリアー数学演習3受験編

クリアー数学演習3受験編

 

 

 
 また、整数問題は名大に頻出ですが、網羅型問題集だけでは演習不足のため、整数に特化した参考書を夏休みの終わりまでに1冊やっておきましょう。下の「マスターオブ整数」はひらめきに頼りがちな整数問題の解き方を体系化して学べるためおすすめです。 
マスター・オブ・整数―大学への数学

マスター・オブ・整数―大学への数学

 

 

 
 
 
【基礎演習のやり方】
 
 2年春休み~3年夏休みの間に少なくとも4周することを目標にします。4周といっても全ての問題を4回解くわけではないので安心してください。
 何周目でも、解答は実際の試験を意識して丁寧な記述を心がけましょう。普段の記述を怠っているのに本番だけきちんと記述するなどということはできません。
 
 1周目では、典型パターンの習得を目的にすべての問題を解きます。3分程度考えて解法の糸口が掴めなければ解説を見ても構いません。典型パターンの習得が目的のため、量をこなす必要があり、時間をかけて考える必要はないからです。ただし、解説を見て理解したつもりになるのではなく、解説を読んだ後に何も見ずに解答を書けるか試すようにしましょう。
 また2周目の準備として、自力で解けなかった問題には印を付けていきます。
 
 2周目では、1周目で印を付けた問題のみ解きます。このときも自力で解けなかった問題には重ねて印を付けていきます。印が二重に付いた問題は何日か空けてもう一度やりましょう。
 
 3周目では、すべての問題に目を通します。問題を読んで解答の筋道がわかるのであれば解答を書く必要はありません。最後まで解答できるか怪しいと思った問題は解答を書きます。このときも解けなかった問題には印を付けていきます。
 
 4周目では、2周目、3周目で印の付いた問題を解きます。やり方は2周目と同様です。
 
 時間に余裕があれば、できない問題がなくなるまで3、4周目と同様のやり方で繰り返しましょう。また苦手な単元だけ重点的にやる、A問題は飛ばすなど、個人の力量に応じて臨機応変に対応してください。
 
 
 

3年秋

 そろそろ過去問演習に入ってもいい時期です。名大の数学15ヶ年は必須です(できれば最新のものは買わず4~5年前のものを借りるとよいです)。数学は基礎の積み重ねでできていると書きましたが、名大に頻出の確率漸化式などは他の問題集では演習不足であり、過去問で慣れておく必要があります。
名古屋大の理系数学15カ年[第6版] (難関校過去問シリーズ)

名古屋大の理系数学15カ年[第6版] (難関校過去問シリーズ)

 

 

 理科や地歴などにはまだ未習範囲もあり、授業も続いているため自由に使える時間はそれほど多くないでしょう。この時期に過去問演習をする場合は焦らず1日1~2問ペースでやっていけばいいです。欠かさずにやれば2ヶ月で終わります。早く終わったら2周目に入りましょう。
 過去問演習では、1問40分以内を目安に時間を計って取り組みましょう。実際の試験で1問に使える時間は35分程度ですが、この段階ではまだ問題に慣れていないため、また考え抜く力を身につけるために少し長めに時間を取ります。
 また、本番を意識してB4判の解答用紙を自作して使用するといいです。私はB5のコピー用紙を貼り合わせてB4としましたが、これが畳みやすくて便利でした。
 
 

3年冬

 12月前半までは二次対策を主にしましょう。夏休みまでの基礎演習を積み重ねていれば、センター対策は冬休みからでも遅くありません。ただし、センター数学の問題形式は非常に特徴的なため、演習せずに受けるのは危険です。したがって、冬休みからはできるだけ多くの過去問に当たりましょう。単元によって得点率に違いがある場合は得点率の低い単元に絞って古い年の問題に遡ってやります。
 医学部を除くと、センターでは数学が得意なら9割以上、苦手でも8割以上は取りたいところです。
 この時期で注意すべきなのは、二次試験対策は怠ってはいけないということです。センター問題をやっているだけでは確実に二次試験の感覚を忘れますし、数Ⅲは使わないので頭から抜ける可能性があります。センター対策の合間に二次試験の問題も少しは解くようにしましょう。
 
 

センター以降

 二次対策の総仕上げです。他の科目と併せて直近の過去問を解きます。過去問の後は、河合塾の入試攻略問題集(名大オープン模試の過去問)を使用するといいでしょう。メルカリで探すと古い判も見つかります。時間の許す限り多くの問題に当たっておきましょう。

入試攻略問題集名古屋大学数学 2019 (河合塾シリーズ)

入試攻略問題集名古屋大学数学 2019 (河合塾シリーズ)

 

 この時期には、時間配分や捨て問の見極めなどの練習のため、1年分をまとめて時間を計って解きます。時間設定は本番の150分より少し短くしておきましょう。

 

まとめ

 名大対策の基本は、夏休みまでの基礎演習・秋以降の過去問演習となります。基礎演習を怠っていては過去問は解けません。また、基礎演習はそのままセンター対策としても役立ちます。そのため、まずは基礎演習を完璧にしてください。

 また、勉強は量ではなく質だという人がいますが、ある程度の量がなければそもそも話になりません。特に数学は演習量が点数に直結します。基礎演習・過去問演習ともに可能な限り多くの問題を解いておきましょう。